授業紹介【必須科目】

【 Managerial Economics 】(必修)

2017 Fall(教授名:Prof. Gordon C. McCord)
需要と供給、完全競争市場、限界費用、生産者余剰等ミクロ経済学の基礎を学ぶ授業です。GPSは定量分析に力を入れている大学院ということもあり、数式を用いて定量的なアプローチで経済学の基礎部分を固めることに注力していると思います。もちろん理論だけで終わるのではなく、実社会の事例(Uber参入が価格競争にどのように影響を与えるか、Amazonが何故Whole Foodsを買収したのか等)を毎日Reading assignmentとして課され、授業内容と比較しながら理解を深めるよう構成されています。Reading Assignment の量は多いですが、教授が選んでいるだけあって面白い記事に触れることができるでしょう。
また、経済学に初めて取り組む筆者にとって、二年生が丁寧に教えてくれるTeaching Assistant(TA)は非常に有益でした。中間テスト・期末テスト前の補講はもちろんのこと、Fall Quarter に課される4つのProblem set のアプローチ方法などのアドバイスや授業内容に関する質問を受け付けてくれます。
(教科書:Managerial Economics, Wiley Press, 8th Edition.


2014/2015年  (教授名:Prof. Gordon C. McCord)

本授業ではミクロ経済学の各テーマ(需要曲線、効用最大化、費用最小化、外部性等)を学びます。アメリカの公共政策大学院で学ぶ経済学というと、経済理論を具体的な事例で解説するというのが特徴だと思いますが、IR/PSではより定量的なアプローチを重視するのが特徴だと言えます。モデルと大量の数式を通して各テーマを学ぶことで、各テーマに対しより本格的な理解が深まると思います。
担当教授はMcCord教授で、コロンビア大学のジェフェリー・サックス教授と共同研究をされていた方です。授業の後半では専門分野でもある開発分野や環境分野のモデルが多く取り上げられ、経済理論をどのように実際のケースに活かすのか?という観点で多くの学びがありました。

2013/2014年  (教授名:Prof. Gordon C. McCord)

内容・評価等:ミクロ経済学の基礎と実際への応用を学ぶ。知識自体は、消費者や企業の意思決定等、オーソドックスなミクロ経済学の内容だが、各テーマの最後に、政策決定者や企業経営者が、その知識をどのような場面で使うのかを意識した内容が盛り込まれ、非常に有益。評価は4回のレポートと中間・期末試験。
参考文献:Managerial Economics (7th edition)


【 Quantitative Method I“QM I”- Introduction to Regression Analysis 】(必修)

2017 Fall(教授名:Prof. Teevrat Garg)

 冬学期以降始まる統計学(得られた結果が「たまたま起こったものではない」と言い切れるか否かを定量的に説明する能力を身につける学問)の習得に向けた基礎授業です。授業内容は、次学期以降に本格的な統計学が始まるため、その準備として基礎的な確率から正規分布や信頼区間、回帰分析の考え方等を授業で学びます。
 学期中に4回課されるProblem setで繰り返し数式や解法を覚え込んでいきます。TAセッションも充実しており、初めの学期から落ちこぼれる人が出ないように丁寧にサポートしてくれている印象でした。
 中間テスト・FINAL共にCheat sheet(1枚)と関数電卓の持ち込みが可能でした。なお、2017年時点では金曜日に実施されているエクセルセッション(エクセル関数を用いて解を導出するための手法を実践的に学ぶ補助授業)は任意出席でしたが、仕事等で役立つ便利な裏技を学ぶことが出来るものでした。2018年からは出席が必須に変わっているようです。
(教科書:Modern-Business-Statistics-with-Microsoft-Excel-5-ilovepdf-compressed)

2014/2015年  (教授名:Prof. Philip Lau

IR/PSでは必修、選択授業合わせてQM(Quantitative Method:定量分析)の授業が1〜4まで用意されています。QM1はその最初のコースで、統計の基礎概念、仮説検定、区間推定、回帰分析の基礎等を学びます。
統計の授業と言うと、公式を大量に覚え、テストでは関数電卓を用いて回答。という姿をイメージされる方が多いと思います。本授業でももちろん公式は提示されますが、同時にエクセル関数も解説する実用に則した授業となっているのが特徴です。(宿題や試験でも特定のパートはエクセルを用いて回答する形式)また、課題や試験では、単なる計算問題だけでなく、算出した数値を元にどう意思決定するか?という実践的な問題が多いのも特徴です。
教授は香港人の教授で、板書も非常に丁寧でわかりやすく、復習問題も数多く用意してくれるため、留学生にも非常に理解しやすい授業だと思います。

2013/2014年  (教授名:Prof. Philip Lau

内容・評価等:サマースクールのQuantitative Methodの続き(教授も同じ)であるとともに、来学期以降のQM2およびQM3に続く計量分析シリーズの導入。確率論の続きに始まり、後半からは仮説検定をみっちりやり込む。エクセルを使った実践に重きを置いており、有益なのは確かだが、なぜそうなるのか、といった理屈の説明は(時間が不足していることもあり)やや不十分か。評価は2回のレポートと中間・期末試験。
参考文献:Statistics for Managers Using Microsoft Excel (6th edition)


【 International Politics and Security 】(必修)


2014/2015年  (教授名:Prof. Randy Willoughby

2年次におけるより専門的な国際政治経済分野の学習の前段階として、国際安全保障の主要論点について学びます。いくつかの国(フランス、インド、メキシコ、トルコ)が直面する安全保障政策上の課題と、その主な決定要因になっている国内政治状況及び米国との関係について学習した後、国際安全保障について理解を深めるための切り口(ミサイル防衛、核不拡散体制、核エネルギー、通常兵力)及びその現状・課題について理解を深めます。
これまで安全保障や国際政治に関するバックグラウンドがほとんど無かった私にとっては、undergraduate過程でこれらの分野を既習済みの者が大半を占めるクラスメートとの競争はややタフでしたが、国家が果たす機能のうちでも最重要の位置付けにあり、経済分野にも強い影響を及ぼしている安全保障について分析するための論点・切り口を多く得られたことは、今後の自分にとり大きな学びとなりました。

2013/2014年  (教授名:Prof. Walter Barbara)

内容・評価等:国際紛争を客観的に分析するための理論的背景を学ぶ。民主主義、宗教、人種、民族などが国際紛争にどう関係するのか、関連論文を読んだうえで、教授が指定する12個のケースから7個を選択し、A4で3枚程度のメモを書く。国際紛争に関する基礎的な知識が習得できるほか、各ケースがまさに現在進行形のものが多く(例えば、イランの核問題やエジプトの民主化など)、今まで馴染みが無かったものの、現実には非常に大切な問題について知見を深めることが出来、有益。評価は7回のレポート。
参考文献:授業ごとに予め読んでおくべき論文等を教授が指定。


【 Globalization 】(MIA必修)

2017 Fall(MIA必修)(教授名:Prof. Stephan Haggard, Prof. Barry Naughton)
 国際社会を取り巻く様々な政治・経済の問題を理解する上で必要な基礎知識を身につける授業です。国際機関の役割と変遷、国際貿易論、FDI、外国為替、世界金融危機、貧困問題等を取り上げ、主に課題図書と授業を通してそれらの理解を深めました。4回の課題提出、中間試験及び最終試験で評価されます。
(教科書:先生の配布するスライドがメインの教材となります)



2014/2015年  (教授名:Prof. Barry J. Naughton)

本授業では、秋学期以降の本格的な国際政治経済の授業の前段階として、アジア・太平洋地区を中心とした政治経済のトピックを学びます。グローバリゼーションの歴史的な意義から始まり、世界銀行やWTO等の各種国際機関、為替政策などの各国のマクロ経済政策まで幅広いテーマを学びます。課題では、単なるレポートにとどまらず、国際機関が提供するデータを用いて、特定の国の経済状況の分析を行うといった、比較的実践的な問題が課されるのも特徴的です。
キーワードは聞いたことがある、というテーマも多いですが、グローバリゼーションというよりマクロな文脈の中で学ぶことで、その意義やメカニズムが明確に理解できる授業です。

2013/2014年  (教授名:Prof. Stephan Haggard)

内容・評価等:国はなぜ貿易を行うのかという問題に始まり、WTO等の国際機関の役割、為替レートの役割、公平や貧困の問題等を幅広く学ぶ。国際経済を学ぶ上での基本的知識が網羅されており、非常に有益。評価は4回のレポート、中間・期末試験。
参考文献:授業ごとに予め読んでおくべき論文等を教授が指定。


【 Finance & Accounting for Policy Makers 】(必修)


2014/2015年  (教授名: Prof. Krislert Samphantharak)

Managerial EconomicsとGlobalizationに引き続いて、変化する国際政治経済環境の中での企業行動を異なる角度(財務・ファイナンス)から理解を深めるための必修授業です。財務諸表の作成過程及び解釈、現在価値及び将来価値の概念を活用した各種資産やプロジェクト、企業価値等の評価方法、各種債権(株式や国債等)の価格決定方法等について学習しました。授業は完成度の高いスライドを用いて行われ、日本人にも理解しやすいと思います。
たとえば財務諸表については、日本での会計学で一般的な解釈・比較方法に関する説明だけでなく、ある企業行動(支払い、納品、設備投資等)が財務諸表のどの部分にどのように反映されるかまで含めてエクセルでの実践(課題及びテスト)を通じ理解を深めることができ、安全保障分野と同様にバックグラウンドが浅かった自分にとっても知識を肌感覚で身に付けやすい授業でした。

2013/2014年  (教授名: Prof. Krislert Samphantharak)

内容・評価等:ファイナンスと会計の基礎を学ぶ。基本概念の習得に加えて、実践が重視されており、大量の宿題が課せられるが、内容自体は比較的平易。基礎の確認、復習には有益。評価は8回の宿題と中間(2回)・期末試験。
参考文献:[1] Anthony, Hawkins, and Merchant. Accounting: Text and Cases, 13th edition, 2011 (AHM). [2] Brealey, Myers, and Allen. Principles of Corporate Finance, 11th edition, 2013 (BMA).


【 Quantitative Method Ⅱ“QM II” - Introduction to Regression Analysis 】(必修)


2018 Winter (教授名: Prof. Jennifer Burney)

QMⅠから発展し、回帰分析の理論とクロスセクション分析(ある1時点における変数間関係の分析)手法について学ぶ授業です。分析は、統計分析ソフトStataを使って行います。課題は、授業で学んだ考え方を使い、与えられたデータと課題項目に従い、実際にStataで分析を行い、レポートにまとめるスタイルです。各国の民主化指数とGDPのデータを用いた民主化と経済の関係(例:民主化度合いと一人当たりGDPの関係性 等)、国際機関のデータを使い行うものが多かったです。政策効果を分析するツールとして、習得すると非常に有効であると思われます。計5回の課題提出と期末試験で評価されます。GPSの授業の中でも非常にタフな授業と言えるでしょう。
(教科書:A Modern Approach, by Jeffrey M. Wooldridge (4th or 5th edition)


2014/2015年  (教授名: Prof. Jennifer Burney)

QMシリーズ2つめの授業で、本授業までが必修となります。本講義では、STATAという統計分析ソフトを活用した回帰分析の基礎について学習します。授業では、主にスライドを用いて回帰分析が依拠する前提(Gauss-Markov assumption)や、その前提を崩し分析の妥当性を損なう可能性がある諸要因(outliers、omitted variable biasなど)とその補正方法等について一通り講義を受けます。課題は授業でカバーした知識を活用して実際の統計データを分析し、結果及びその解釈などを説明したペーパーを提出する実践的なスタイルで、実際に職務で直面する分析作業に習熟できるようになっています。
回帰分析は、欧米を中心に政治・経済にとどまらず、経営やマーケティングでも汎用的に用いられる統計分析手法とのことであり、数量的データ(例:会社の資本金額)だけでなく質的データ(例:新規採用数が減少しているか否か等)も組み込み、各々のデータ(説明変数)が変化した際の被説明変数(例:収益伸び率)の変化傾向を分析することが可能であることから、政府や企業による様々な取組みの効果を数量的に把握するための有効なツールになり得ると実感した授業でした。

2013/2014年  (教授名: Prof. Jennifer Burney)

内容・評価等:サマースクールのQuantitative Method、1学期目のQM1に続く計量分析シリーズの導入。単回帰分析、重回帰分析まで、その理論的基礎とSTATAを使用した実践を学ぶ。あらゆる計量分析の根幹をなす部分であり、非常に有益だが、宿題の量が多く、時間を消費する科目。評価は4回の宿題、最終レポートと期末試験。
参考文献:Introductory Econometrics: A Modern Approach, by Jerey M.Wooldridge (4th or 5th edition)


【 Policy Making Processes 】(必修)


2014/2015年  (教授名:Prof. David G. Victor

本学の目玉教授の一人であり、気候変動交渉分野で多くの実績のあるProf. David G. Victorによる必修授業です。政策過程における主なactor(国会議員、官僚、大統領、利益団体等)のインセンティブを理論化し、各々の理論枠組みごとに、どのactorのどのようなインセンティブのもと、どのような帰結が生じることが予想・説明されるかを毎回の授業ごとにテーマを決めて理解を深めた。毎回のテーマとしてはゲーム理論、集団行動(collective action)、Principal-Agent理論、大統領制・議院内閣制、連邦制、不確実性化でのガバナンス、利益団体が規制当局に及ぼす影響(capture)、民間セクターへの委任、国際交渉と国内政治の相互作用(two-level game)などが取り上げられた。それぞれのテーマで古典とされる課題文献を読んだ上で、当概理論によるケーススタディの説明を試みる、という形で毎回の授業は進行しました。本授業では1年次での必修科目の中では唯一cold call(学生を指名し質問、回答は採点される)が設定され、毎回のcold callにおける教授の切り口は鋭く、非常に緊張感がありexcitingな授業でした。異なる政策ごとに関係者が有すると予想されるインセンティブを理論化し、それによって生じうる帰結の予測・説明を試みる本授業のアプローチは今後の職務においても非常に有益であり、大変満足度の高い授業でした。


【 International Economics 】(必修)


2014/2015年  (教授名:Prof. Thomas Baranga, Prof. Natalia Ramondo

国際経済における主な要素(利子率、為替レート、比較優位など)が実際の国際経済に影響を与えるメカニズムについて網羅的に学習しました。テーマとしては、為替レートと利子率の関係によって生じる裁定取引(arbitrage)、貨幣数量説と為替レートとの関係、一国の利子率の変化が自国及び他国の国民所得会計の構成要素(経常収支、資本収支等)に影響を及ぼすメカニズム(IS-LM分析)、財の生産要素又は機会費用の多寡が国際貿易及び賃金に与える影響のメカニズム(Richard model, Heckscher-Ohlin model)などが取り上げられ、授業及び課題を通じて理解を深めました。私はこれまでマクロ経済的な議論に非常に疎かったのですが、履修を通じてその基礎知識及び分析の視点を得られたことは大きなアドバンテージであり、有意義な授業でした。



【 選択必修科目 】

【 Strategy and Negotiation 】

【 Evaluating Technological Innovation (QMIV) 】

【 Fiscal and Monetary Policy 】

【 Business & Management in Japan 】

【 Chinese Politics 】

【 Economic and Social Develop in China 】

【 Non-native Chinese 1年目 】

【 Non-native Chinese 2年目 】

【 Spanish 1年目(LISP 1A~1C及び1AX~1CX) 】


【 選択科目 】

【 Making U.S. Foreign Policy 】

【 Cost Benefit Analysis 】